現代社会が抱える問題点に鋭い考察を加える。


by 5_kokintou

プロフィールを見る

「瀬踏み」から「邂逅」に移行する米露関係

米露首脳会談が実現の運びとなりそうです。(末尾記事1)

考えてみればおかしな話で、対露経済制裁を主導したのが、他ならぬオバマ政権時の米国、今も制裁措置は有効ですから、喧嘩相手が席を共にすることになります。

もっとも、かねてからトランプ大統領も対露関係改善を匂わせていましたし(記事2)、プーチン大統領も米国に秋波を送っていたのは事実(記事3)、会談が設定されても不思議ではありません。

ただ、G20の時間の合間を縫って個別会談したとしても、時間的に制約があります。

とすると、前号で触れました「空白の五日間」が意味を持ってくる公算も無きにしも非ずと言う状況になりつつあります。


7月前半の国際政治日程を纏めますと、


7月7日~7月8日:G20(於独ハンブルグ、初の米露首脳会談)
7月9日:プーチン・森元総理会談(於露エカテリンブルグ)

空白の五日間

7月14日:米仏首脳会談(於パリ)


ドイツに行って帰米して再びパリに赴くと言う、非効率なことをしないのがトランプ大統領の性分です。


しかも、米露間には片を付けねばならない課題が山積みで、その意味からも首脳会談の開催は双方にとって利益です。

具体的には、


1)対露制裁の実質的骨抜き
2)ロシアの対欧州緩衝地帯(≒東欧)の承認
3)プーチン大統領の国内の政敵(メドヴェージェフ首相を擁する新興財閥)の処分
4)対イラン戦略の再確認(サウジ、イスラエル等との連携)
5)北方領土返還の際の米国の誓約(極東ロシアの安全保障の確認)
6)対北朝鮮交渉の筋書き
7)欧州反トランプ勢力(英国王室、独仏)処分


少なくともこれだけの未解決問題があります。

ですから、パリでの米仏首脳会談に、トランプ「皇帝」はとんでもない爆弾を「手土産」として携えて来る筈、マクロン仏大統領はその点で認識が甘すぎます。

仏側から言えば、米国側に足を運ばせたと言う思いでしょうが、「皇帝」は刃向かう者に容赦有りません。

その点を踏まえても、「空白の五日間」は有効利用しなければなりません。

(続く)

<引用記事>
記事1)米・ロシア首脳、G20で会談へ=米大統領補佐官
https://jp.reuters.com/article/us-russia-idJPKBN19K34I

記事2)トランプ次期米大統領、対ロシア制裁撤回の可能性示す
http://www.afpbb.com/articles/-/3114084

記事3)ロシア外相、米との対話再開を優先 核兵器の削減交渉で
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17HAP_X10C17A1FF1000/

[PR]
# by 5_kokintou | 2017-06-30 23:37 | Comments(0)

龍の権威

トランプ「皇帝」に楯突くとどうなるか、ローマ法王は今頃、臍を噛んでいるのではないでしょうか。(末尾記事1)

カトリックでは日常茶飯事なのですが、法王の側近と言われる人物が幼児性的虐待で起訴、豪州では州警察の権限が強く、反トランプ勢力に属する中央政府は干渉出来ません。

このままでは、母国アルゼンチンを含む南米経済が破綻するばかりでなく、自身の身辺も洗われて醜聞が露見する公算が大きく、あくまで刃向かうのか、それとも「皇帝」の軍門の降るのか、法王は決断を迫られています。


英国では女王が施政方針演説をする慣例になっていまして、今回もその通りですが、例年と異なるのは演説の日程が先延ばしになったこと(記事2)、表向きは連立工作の遅れが挙げられていますが、水面下で王室側がメイ首相に「難癖」をつけたものと思われます。(記事2、記事3)

これでトランプ大統領の国賓待遇での訪英は事実上延期、大統領が英国に足を運ぶのは、英国王室が膝を屈する時です。

ただ、今回の英国総選挙が、万事王室側の思惑通りに運んだ訳でなく、スコットランド地域政党が議席を大きく減らしたため、分離独立の住民投票が実質的に沙汰止みになりました。(記事4)

英国は今、王室が反トランプ勢力の盟主、政権が親トランプ陣営の一翼を担うと言う、一種のねじれ現象を起こしています。


「人気だけ政権」の仏マクロン大統領、「人気取り政策」に躍起なのは当然で、G20サミット(於ハンブルグ、7月7日~7月8日)に続き、7月14日にもパリでトランプ大統領との首脳会談を設定、米国相手に屈しない姿勢を誇示したいのでしょうが、龍の逆鱗に触れると身を亡ぼすことを、世間知らずなもので分かっていません。(記事5)

それにしても、7月9日から7月13日までの「空白の5日間」、トランプ大統領は如何に有効活用する考えなのでしょうか。

可能性は薄いですが、「電撃訪露」も一応、念頭に入れておくべきでしょう。


そもそもフランスには、人気取り政策を続ける余裕は全くありません。

ただでさえ欧州経済は減速しているうえ、NATO加盟国は費用負担増を約束させられていますし、加えて財政規律を守る公約を果たすため、公共事業予算を削ると言うのですから、これで景気が好転し失業者が減少すれば奇跡以外の何物でもありません。(記事6、記事7)

間違いなく、仏経済もマクロン人気も失速する、簡単な話です。

(続く)

<引用記事>
記事1)ローマ法王側近、豪当局が児童性的虐待で訴追
http://www.jiji.com/jc/article?k=20170629035860a&g=afp

記事2)エリザベス女王の施政方針演説、数日延期へ=BBC
https://jp.reuters.com/article/britain-election-queen-idJPKBN1931G6

記事3)英EU離脱、強硬封印 施政方針演説に具体策なく
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC21H3G_R20C17A6EA2000/

記事4)スコットランド首相、独立の住民投票棚上げ
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27HA3_Y7A620C1EAF000/

記事5)トランプ氏、仏を7月に初訪問
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H7K_Y7A620C1FF2000/

記事6)NATO加盟の欧州諸国とカナダ、2017年防衛費を4.3%増額へ
https://jp.reuters.com/article/nato-defence-idJPKBN19J14H

記事7)フランス、公共投資削減で年内に財政赤字目標達成へ=経済相
https://jp.reuters.com/article/france-economy-deficit-idJPKBN19I00R

[PR]
# by 5_kokintou | 2017-06-29 22:08 | Comments(0)

逆鱗に触れると言うこと ~トランプ大統領は龍~

バチカンとの首脳会談が喧嘩別れに終わった直後から、南米が騒がしくなっているのは周知の事実で、無政府状態となりつつあるベネズエラでは、警察が内務省と最高裁を襲撃する始末(末尾記事1)、大統領派と反大統領派の争いは、暴力を用いるしかない状況に至りつつあります。

一方、ブラジルでは前任者に続いて現職大統領も収賄で起訴、再び弾劾される可能性が浮上しています。(記事2)

政治危機にあるこれら両国の経済が好調な筈もなく、特にブラジルは域内の経済大国ですから、依存度の高いアルゼンチン(法王フランシスコの母国)には有り難くない話なのです。

付言しますと、米国はブラジル産牛肉に禁輸措置を講じています。(記事3)


トランプ大統領の政治手法の特徴として、敵対する者は徹底的に叩く点が挙げられます。

これまで公然と或いは婉曲に抵抗の意志を示したのが、英国王室、独仏、バチカン、中国、トランプ大統領の誕生を歓迎しているのが、英国メイ政権、プーチン露大統領、安倍政権、中国反習近平勢力、インド、サウジアラビアです。

そして、「トランプに抗う輩を待ち受けるのは身の破滅、従う者には幸い」、これが国際社会の鉄則となっています。


だからこそサウジアラビアは、スンニ派にもかかわらず親イラン姿勢を崩さないカタールに対し、通常ならば考えられない苛刻な条件を提示(記事4)、取り纏め役が米国でしたから、そのお墨付きを得て強気に出ています。

対してカタールの肩を持っているのが、イランとトルコであることが今回の騒動で浮き彫りに(記事5、記事6)、それでもサウジアラビアが強硬なのは、「この際、中東におけるイラン・トルコ枢軸を潰してしまえ」と言う総意が形成されているからです。(記事7)


クレムリンだって、トランプの恩恵を被っています。

対露追加制裁法案が、ほぼ全会一致で連邦上院にて可決、面白いことに、これに真っ先に噛みついたのが、独経済相でした。(記事8、記事9)

この人物は社会民主党に属し、同党は露新興財閥と癒着している、要はドイツにおける反プーチン勢力です。

今回の追加制裁法案で打撃を蒙るのは、露新興財閥と関係の深い独系企業、その利権に社会民主党が食い込んでいることは論を俟ちません。

従って、ロシアが報復を検討していると伝えられていますが、これは明らかに米露間の出来レース、ドイツを挟み撃ちにする戦略です。(記事10)

その証拠に、追加制裁を課されたにもかかわらず、プーチン大統領は米国に対し、関係修復を呼び掛けています。(記事11)


英仏の国政選挙で障害を乗り切ったかに見える反トランプ勢力ですが、苦難は続きそうです。

(続く)

<引用記事>
記事1)ベネズエラで警察ヘリが最高裁と内務省を攻撃、負傷者なし
https://jp.reuters.com/article/venezuela-politics-idJPKBN19J0GP

記事2)ブラジル検察、テメル大統領を収賄容疑で起訴
https://jp.reuters.com/article/brazil-corruption-temer-idJPKBN19I00P

記事3)ブラジル産牛肉に打撃 米、安全懸念で輸入停止
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM25H03_W7A620C1EAF000/

記事4)アルジャジーラ閉鎖など要求=断交カタールに13条件-アラブ諸国
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017062301165&g=int

記事5)サウジの要求を批判=カタール断交問題-トルコ大統領
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017062500377&g=int

記事6)カタールにある軍事拠点、見直す計画ない=トルコ国防相
https://jp.reuters.com/article/gulf-qatar-turkey-minister-idJPKBN19E0X9

記事7)カタールへの要求、交渉の余地ない=サウジアラビア外相
https://jp.reuters.com/article/gulf-qatar-saudi-idJPKBN19J0AW

記事8)米上院、新たな対ロ制裁法案をほぼ全会一致で可決
http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN1962WM.html

記事9)独経済相、米上院のロシア制裁強化法案を批判 対抗措置を示唆
http://jp.reuters.com/article/usa-russia-sanctions-germany-idJPKBN19716X

記事10)米国による新たな制裁へ報復措置を検討中=ロシア大統領府
https://jp.reuters.com/article/usa-sanctions-russia-idJPKBN19C193

記事11)プーチン氏、米に関係改善呼び掛け「建設的対話を」
http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM15H61_15062017FF1000/

[PR]
# by 5_kokintou | 2017-06-29 01:10 | Comments(0)

宮廷革命

サウジアラビアで皇太子が廃され、現国王の実の息子でもある副皇太子が、皇太子に昇格しましたが、肝心な点は、今回の政変劇に先立ち、聖職者を取り込んでいること、米英がすかさず祝意を評している事実にあります。


記事1)サウジ皇太子に副皇太子が昇格 国王実子ムハンマド氏
http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM21H3J_21062017EAF000/

記事2)サウジの聖職者最高評議会、新皇太子任命を歓迎
https://jp.reuters.com/article/saudi-succession-clerics-idJPKBN19C191

記事3)サウジ、ムハンマド副皇太子が皇太子に昇格 米英が祝意
https://jp.reuters.com/article/saudi-succession-son-idJPKBN19C0GY


有体に言えば、現国王の親トランプ路線を快く思わない勢力に、最後の一撃を加えたと言うのが実状です。

そのサウジアラビア、盛んに宿敵イランを挑発、サウジに与するUAE(アラブ首長国連邦)も、親イラン路線を破棄しないカタールに対し、持久戦も辞さずと宣告しています。

加えて米国が、カタール包囲網を構成する諸国から、要求事項の取り纏め役を買って出ているのですから、笑い話でしかありません。


記事4)サウジ、イラン精鋭部隊員を拘束か=「油田でテロ企図」
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017062000054&g=int

記事5)カタール断交は「何年も」続き得る、UAE閣僚が見解
http://www.afpbb.com/articles/-/3132618

記事6)米国務長官、カタールへの要求事項提出を中東主要国に求める
https://jp.reuters.com/article/us-qatar-gulf-idJPKBN19C35A


イスラエルは、米国の支援とサウジアラビアの暗黙の了解を得た上で、入植地建設を断行、トランプ政権のイスラエル(ネタニアフ首相)への入れ込みぶりは尋常ではなく、娘婿の大統領上級顧問をイスラエルに派遣しています。


記事7)イスラエルによる入植地建設計画の推進について
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_003059.html

記事8)クシュナー氏、イスラエル首相と会談=中東和平交渉再開に向け準備
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017062100770&g=int


サウジアラビア、イスラエルの要望を聞きとげる米国、次は当然、ロシアです。

(続く)

[PR]
# by 5_kokintou | 2017-06-23 00:06 | Comments(0)

早くも凋落するフランス新政権

メイ英国首相が難しい舵取りを迫られていると、各紙が報じていますが、船出早々に躓いているのは、むしろフランスです。


記事1)不正疑惑浮上の仏国土相が辞任、マクロン大統領の側近
https://jp.reuters.com/article/france-politics-ferrand-idJPKBN19B0V1

記事2)仏グラール国防相が辞任、所属政党が欧州議会で不正疑惑
https://jp.reuters.com/article/france-politics-goulard-idJPKBN19B1AO

記事3)仏バイル法相とサルネーズ欧州問題担当相も辞任へ=関係筋
https://jp.reuters.com/article/france-politics-bayrou-idJPKBN19C101


6月だけで四名の閣僚が辞任、国土相(国土団結大臣)は社会党出身、残りの三名は中道右派(系)とみられますが、マクロン旋風にあやかろうと考えた日和見主義者であることに変わりはありません。


中道の左右両派の寄り合い所帯として出発したマクロン政権ですが、内外に敵を抱えています。

おこぼれにありつくため、それまでの思想信条を投げ捨て、新大統領が立ち上げた政党(並びに提携政党)に飛び込んだのは良いものの、思い通りの役得が与えられなければ、妬み嫉むのは当たり前です。

加えて、それまでの政治信条は、たとえ見せかけと言えども、看板として掲げていたのですから、それを下す訳にはいかず、これまで別の政党に分かれていた左右両派の主義主張が、新党内部で激突することになります。

更に新党の連中に対しては、左右の「居残り組」から「裏切り者」の罵声が浴びせられますから、背教者でないことを証明するため、従来の思想信条に固執することになり、新党では左右ともに、より教条的にならざるを得なくなります。


要約しますと、

1)マクロン新党(提携政党を含む)は、中道左右両派の寄り合い所帯である

2)保身と栄達目当てであり、立身出世が叶わなかった連中は、上手に立ち回った輩を、出身を問わず嫉視することになる

3)持論を放擲してまで新党に加わったため、「裏切り者」の謗りを受けかねず、それを避けるには以前の信条により強く拘ることになり、左右の路線闘争が激化する

4)「居残り組」が粗探しに没頭する(「裏切り者」の弱みを最も良く知っているのは「居残り組」)


これで内紛が起こらなかったら、それこそ奇跡です。

メイ首相の政権から、離脱者は出ていません。

どうして国内の報道機関は、当たり前の事実を見逃すのでしょうか。


その点、米国トランプ政権は安定しています。

大統領に対する罵詈雑言は絶えませんが、司法(セッションズ長官、議会上院重鎮)、財務(ムニューシン長官、ゴールドマン・サックス出身)、国防(マティス長官、軍部出身)、外交(ティラーソン国務長官、大手石油資本出身)の前では、上下両院も報道機関も、借りてきた猫の様に大人しいです、キリスト教右派が推すペンス副大統領にも。


記事4)マティス米国防長官が議会を非難、国防予算の先行き不透明感巡り
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-06-13/ORGWVM6S972A01

記事5)米、アフガンへ数千人増派か トランプ氏が国防総省に権限
http://www.afpbb.com/articles/-/3131936

記事6)米司法長官、ロシア疑惑「憎むべきウソ」 議会証言
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN14H0U_U7A610C1000000/


つまりトランプ政権は脇役の布陣が強力で、下手に触ると取り返しのつかないことになりますから、矢面の大統領を貶すしかないのです。

換言すれば、これらの人材が留まっている限り、政権は安泰と言えます。


従って大統領自身もやりたい放題、その点に就いては事前に調整済みと考えられます。


記事7)トランプ氏、キューバ渡航規制強化へ 企業取引制限も=米当局者
https://jp.reuters.com/article/usa-cuba-idJPKBN1962WR

記事8)米政府、オバマ前政権発表の移民政策を撤回
http://www.afpbb.com/articles/-/3132318


公約通りの、オバマ前政権の全否定です。

(続く)

[PR]
# by 5_kokintou | 2017-06-21 22:34 | Comments(0)

記事ランキング

以前の記事

2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月

フォロー中のブログ

最新のコメント